MacOS 8.1から採用されたHFS+(プラス)というフォーマットは? HFSよりいいのですか?
ハードディスクは仕切のある整理箱と考えてください。 以前のHFSは65,536個(16bit)に分けられていました。従って、500MBのハードディスクは仕切られた1個の容量は7.6kB、4GBのハードディスクの仕切られた1個の容量は約61kBとなります。(この1個の容量をアロケーションブロックサイズといいます)
仕切の中に複数のファイルを入れることができませんので、どんなに小さいファイルでもこの仕切った最低容量は使ってしまします。 例を挙げると、たった1kBのデータが65,536個、500kBのハードディスクいっぱいに入っていましたが、もっとデータを保存したくなり、入らないので4GBハードディスクに入れ替えようとしました。しかし、ハードディスクの容量が増えているのに仕切の数が同じなので入りません。ということになります。 1kBのデータ×65,536個=65.536kB(約65MB)で済むはずなのに、ハードディスク全部使っちゃいます。まあ、実際にはブートブロックなどの管理情報が入っていますので、この数全てが使える訳ではありません。
そこでHFS+ではこの仕切の数を約43億(32bit)に増やしましたので、ハードディスクを効率良く使えます。ただし完全に約43億という膨大な仕切を作ってしまうと、今度は断片化(これをフラグメンテーションという)がひどくなるという問題がでてきますので、HFS+の規格では1GB以上のハードディスクに対して最小の仕切の容量を4kBに設定してあります。
このファイルを保存してあるハードディスクは4.3GBなのでアロケーションブロックサイズは4300000kB÷65536≒65kBとなります。実際のデータ容量は約19.6kBのデータですが、ハードディスクを65kBも専有しています。実際には1MB=1,024kBなので正確ではありませんが、はっきり言って使用効率悪いです。 問題点は?という事になりますが、MacOS 8.1以前のシステムを入れてあるハードディスクから起動した場合、HFS+のハードディスクの中味は見えません。HFSからHFS+に移行する場合、一度ハードディスクをフォーマットしなくてはいけません。フォーマットに係わるドライバーやユーティリティーはHFS+対応のものを使わなくてはいけません。B'sCREWやDrive7などのフォーマッターソフト、NortonUtilitiesなどの診断ソフトなどです。従って移行は結構面倒かもしれません。常に最新バージョンを用意してください。 次に、DTP業界でのメリットを考えてみましょう。 正直言ってHFS+のメリットは大きいです。Photoshopの高解像度データばかり扱う人は1ファイルのデータ量が多いのであまりメリットが少ないと思いますが、ほとんどのDTPの場合、フォントを多く搭載していますからファイルの数が膨大です。特に和文のOCFフォントの場合、明朝体1書体につき70もの小さなファイルがありますから、たった30書体搭載しただけでも2100個ものファイルがシステムフォルダーの中に入っています。 この問題もあって現在ではCIDフォントを推奨されています(他にもありますが)。CIDフォントはアウトライン部分を1個のデータにまとめられています。 HFS+とCIDフォントは同時期に発表されて、どちらが先かなと思っていましたが、業界内ではコストの問題もあって思ったようにCIDフォントへの移行がされていないので、HFS+に移行するメリットは大きいと思われます。 ただし、HFS+にするにはプロテクトのかかったフォントは再インストールする必要があります。以前はインストール1回限りしかできず、ディスクをフォントメーカーに送り直さなければならず大変面倒でしたが、最近のインストーラーは同じ機種の同じハードディスクなら再インストール可能になっています。念のため、フォントのパッケージについている取扱説明書を読んで確認してください。(CIDフォントに関してはMac Schoolの方をご覧ください) |